京都の農林漁業の未来 農山漁村の課題

京都府の 農 林 水 産業

京都の農林水産業は、京都の伝統・文化とともに発展し、古くから京野菜や宇治茶、北山丸太など地域の特性を生かした特色ある農林水産物を生産してきました。

京都府では5つの市町が海に面しています。舞鶴市・京丹後市のズワイガニ、宮津湾のトリガイ、伊根町のブリ、久美浜湾のカキなど、特徴のある水産物が漁獲されています。

丹後地域

「丹後産コシヒカリ」に代表されるお米作りが盛んな地域です。京野菜や果樹などの生産、和牛子牛の生産も盛んに行われています。

中丹地域

北部を流れる由良川沿いを中心にお米作りが盛んです。
丹波くりや小豆、紫ずきん、万願寺甘とう、お茶などの京都を代表する特産物の生産や卵や地鶏など養鶏も盛んに行われています。由良川では、春にアユ、秋はサケが日本海からのぼってきます。

南丹地域

京都府内有数の穀倉地帯で、黒大豆・小豆のほか、京みず菜、紫ずきん、京壬生菜などブランド京野菜の栽培が盛んです。
また、京都府内有数の林業地帯でもあり、丹波高原周辺は、昔から香りのよい丹波まつたけの産地です。粒が大きく、甘い丹波くりなども有名です。そのほか、和牛肥育、酪農、養豚などの畜産も盛んな地域です。
美山川はおいしいアユがとれることで全国的にも知られています。

京都市・山城・乙訓地域

京都府の人口の約8割が集まっている地域です。
京野菜や花きなど集約型の作物が多く生産されており宇治茶の代表的な産地です。
京都市の北部は、北山杉の表面を磨き上げた磨丸太の産地として有名です。鴨川などでは、漁協や府民グループによりアユの遡上を手助けする活動が行われています。
乙訓地域は竹林が多く、良質なタケノコが生産されています。

京都府の農林水産業を取り巻く課題

農業、林業、漁業(水産業)は地域経済を支える基幹産業です。
また、農山漁村は、人が生きていくために必要な米や野菜など食料生産の場としてだけでなく、豊かな自然を守り、水を蓄えて洪水を防ぎ、地域の伝統文化の伝承や生活の知恵・技を伝えるなど、重要な役割を数多く担っています。
こうした地域と産業をしっかりと守り、次世代に引き継いでいくことが大切です。しかし、少子高齢化により、そうした仕事に従事する若者らが少なくなり、地域の人たちだけでは農林水産業や農山漁村を守っていくことがむずかしくなってきています。

京都の農林漁業の未来 新たな担い手育成

農業の担い手育成

京都府立農業大学校

農業を志す若者が、技術と知識の習得を目指す府立農業大学校。
綾部市の全寮制のキャンパスでは、1学年20人の学生たちが2年間、共同生活をしながら農業を学んでいます。
同校の特長は、野菜経営と茶業経営の2つのコースを設置し、各自の希望に応じた作物の選択が可能です。
実習を主軸に座学を組み合わせた実践的な学びを通じ、農大生たちは経営感覚を備えた農業者となって巣立っていきます。

京都府の農業支援策

農林水産業ジョブカフェ

就農・就業希望者への情報提供や
相談受付(京都駅から南へ徒歩15分)
 日・祝以外9~12・13~16時  075-682-1800

京の農業応援隊

農業改良普及センターを中心とする農業・商工関係機関で「京の農業応援隊」を結成し、新規就農者や担い手のチャレンジに対する相談・支援を行う

スマート農業

AIやICTなどを活用した技術の実装を加速化し、作業性や生産性を向上

林業の担い手育成

京都府立林業大学校

林業専門の教育訓練機関として西日本で初めて創設された府立林業大学校。
京丹波町にある同校では、広大な「森の京都」をキャンパスに、学生たちが林業に必要な知識と技術を学び、さまざまな資格を取得します。
林業と一口に言っても、伐木、育林、経営、木材コーディネート、鳥獣被害対策、森林公共政策など多岐にわたるため、
大学や企業などと連携し、常に業界最先端の情報を入手。森に入って機械を操作する実習も充実させ、即戦力となる人材を輩出しています。

京都府の林業支援策

グリーンワーカー研修

技術向上や資格取得のための、機械運転技術などの講習・研修を継続的に実施

道具購入・貸与費用支援

新規就業者が利用するチェーンソーの貸与や保護具の購入の費用を助成

府内産木材の利活用

多くの府民が利用する施設に府内産木材を導入する費用の一部を助成

漁業の担い手育成

京都府漁業者育成校 海の民学舎

漁業者としてのスキルを学び、府の漁業と漁村のこれからを支える人材を育てる海の民学舎。
研修期間は2年間。1年目は漁業や水産研究の専門家による講義・実習で基礎的な知識・技術を学びます。
2年目は漁村に住みながら、各自の希望と受け入れ事業者の調整ができた漁業種(定置網、底びき網、トリガイ養殖など)で実地研修を継続。地域に根差して活躍できる漁業者を育成します。
研修中は宿舎を利用でき、授業料の返還制度、給付金制度の活用もできます。

京都府の漁業支援策

住居確保をサポート

市町と連携し住居を斡旋。空き家利用の場合は改修経費の支援制度あり

経営力向上講座

若手漁業者などを対象に、他府県の事例研修や経営研修などを開催

漁船・漁具リース事業

府と市町が連携し、若手漁業者の中古漁船などの購入費用の約2/3を補助